RとLの発音なんて、前後の文脈から理解してもらえれば十分だ。ただ、東京に聖火を持ってきたかった。

「金(メダル)を取りにいかなければならなかった。だから、プレゼンが苦手とされる日本があの時、勝てて、僕はムチャクチャうれしかったんです」

 最年少で国際フェンシング連盟の理事に当選し、現在2期目を務めている。痛感するのは、「英語の先にあるもの」だ。

「例えば、僕らがダライ・ラマに会いたいと思ったら、何語だろうが、絶対に話を聞こうとするじゃないですか」

 学術や政治などの分野では微細な表現の違いも重要だが、日常ではどれだけ相手に伝えたいのか、聞いてほしいのかという「中身=コンテンツ」を持つことが大事だ。中身を鍛えれば、伝えたくなる。英語はそのツール。語学力も必然的につくはずだと話す。

「何でもいい。食べるのが好き、コーヒーを淹れるのがうまいでもいい。ニッチな1番を極め、それを『横展開』でつなぐ。僕はフェンシング。これを持てたのは大きかった」

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