小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。近著に小説『ホライズン』(文藝春秋)。最新刊は『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)
小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。近著に小説『ホライズン』(文藝春秋)。最新刊は『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)
日本で暮らす外国人は増加の一途(※写真はイメージ)
日本で暮らす外国人は増加の一途(※写真はイメージ)

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

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 文部科学省によると、日本の公立小・中・高校等に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒は2006年度から16年度の10年間で1.5倍に増え、3万4千人余り。そのうち約2割(約8千人)が日本語指導を受けられずにいます。

 子どもは覚えるのが早いから大丈夫!と思いがちですが、ただ友だちと遊んでいるだけでは、日本語で学ぶことができるようにはなりません。日本語で学べなければ、進学や就職にも影響します。うまくコミュニケーションが取れずに孤立したり、自己肯定感が低くなったりしてしまうことも。

 文科省が一昨年に発表した有識者会議の報告書では、こうした子どもたちを中長期的な視点に立って支援する体制づくりを進める必要があるとしています。日本語支援の専門的な教育を受けた教員が十分に配置できるのか気がかりです。

 渡豪1年目、息子たちは英語を母語としない子どもたちのための特別コースのある公立小に通いました。ここで英語と、豪州の学校で学ぶためのスキルを習得し、先生がもう大丈夫だと認めたら、地元の公立校に転校するのです。そこでは留学生や移民や難民など35カ国から来た子どもたちが学んでいました。息子たちは2年目から地元の公立校に転入し、通常の授業を受け始めましたが、おかげで友人との関係も学習面も問題なくなじむことができました。

 特別コースの先生たちは折に触れ「ここはいろんな人がいていい場所なんだよ」と示してくれました。親子でどれほど励まされたことか! 豪州での暮らしが5年目に入った今、改めて感謝しています。

 日本で暮らす外国人は増加の一途。いろんな母語の音と混ざった日本語が生まれるはず。ようこそここへ。心配しなくていいよ。困った時には、助けてくれる人がいるから。子どもたちがそんなメッセージを受けとれるようにしてほしいです。

AERA 2018年3月5日号

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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