今季がシニア1年目。平昌五輪の代表争いで出遅れたが、昨年11月のスケートアメリカで2位に入り一気に開花。全日本2位で五輪代表の座をつかむと、今年1月の四大陸選手権優勝の際のSP、FSの合計得点は、今季初戦から45点以上伸びた。

●女子も4回転時代に

 日本勢は二人とも持ち味を出し切ったが、金メダル争いは次元が違った。ロシアから個人資格で参加した15歳のアリーナ・ザギトワと18歳で世界選手権2連覇中のエフゲニア・メドベージェワの二人が、SPから世界記録を更新。フリーはともに156・65点を出す五輪史上に残る名勝負を繰り広げ、ザギトワが今季無敗で頂点に立った。メドベージェワとの得点差はわずか1・31点だった。

 モスクワで同じ女性コーチに教わる二人は、共通点も多い。SP演技序盤はステップやスピンでつなぎ、得点が1.1倍になる後半に三つのジャンプ要素を固める。手を上げながらジャンプして出来栄え点(GOE)を得るスタイルも同じだ。ザギトワはFSでも、七つのジャンプ要素すべてを後半に跳んだ。

 3回転の2連続ジャンプが当たり前になった女子。強豪は、ロシア勢のように後半にジャンプを固めたり、手を上げてGOE加点を狙ったりする傾向が強まった。4年後の北京五輪に向けて、多くの指導者が「4回転を跳ぶ女子が出る」とみている。現に、ザギトワらのコーチ門下のロシアのジュニア勢には、4回転をプログラムに組み込む選手もいる。

 日本勢も負けていない。昨年末のジュニアグランプリファイナルで、15歳の紀平梨花がトリプルアクセル(3回転半)-3回転トーループの2連続ジャンプを国際スケート連盟の公認大会で初めて成功。さらなる高難度を求め、女子の技術も進化する。(朝日新聞スポーツ部・前田大輔)

AERA 2018年3月5日号