厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況」内「主な年齢の平均余命の年次推移」(2017年7月27日発表分)
厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況」内「主な年齢の平均余命の年次推移」(2017年7月27日発表分)

 今や「100歳まで生きる」という前提で「年金だけではいくら足りないか」を考える時代になった。ここで気をつけたいのは、みんながみんな100歳まで普段どおりの暮らしができるのか、ということ。年齢を重ねるごとに病気は増え、体の自由がきかなくなっていく。動けなければ、貯金で暮らすしかないという現実――。今回は、アエラ増刊『つみたてNISAとiDeco入門』から、平均寿命と健康寿命の差について詳細に検証した記事を紹介しよう。

■長生きリスク、老後破産、下流老人の可能性が、あなたにも

 医療の進歩や介護制度の整備で、“人生100年時代”がすぐそこまで迫っている。頭をよぎるのは、「昔よりも長生きができて幸せ」という充足感より、「そんなに長生きして、お金は足りるのだろうか、大丈夫なんだろうか」という不安や焦りではないだろうか。

 ちまたでは「長生きリスク」「老後破産」「下流老人」といったネガティブな言葉が広く流布するようになった。他人事ではない。

 40代、50代の高齢者予備軍の間では、「年金支給開始年齢がいずれは65歳どころか70歳、75歳まで引き上げられる」といった懸念も根強い。頼みの綱である年金制度の見通しが不透明である以上、長生きリスクに備え、なるべく早い段階から老後資金を確保する手段を探すことが急務といえる。

 とはいえ、空前の低金利が続いていることもあり、「貯蓄」だけでは心もとない。退職金が多くもらえる企業に勤めているならまだしも、現在は退職金制度そのものを廃止している企業も多い。やはり株式や投資信託など「投資」にも目を向ける必要があるだろう。

■何歳まで生きるのか

 人生100年の時代……それは、「自分はいったい何歳まで生きるのか」を絶えず自問自答せざるをえない時代のことかもしれない。何歳まで生きるかは誰にもわからないが、とりあえず長生きする前提でマネープランを考えたほうがいい。

 まずは「定年退職した後、もらえる年金はいくらか」「収入と支出を比べて、月々いくら足りなくなるのか」を冷静に見極めることが、“長生きリスク”から身を守る第一歩になる。

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安住拓哉

安住拓哉

出版社勤務を経て2021年に独立。経済関連記事全般が得意。取材・執筆歴20年以上。雑誌の取材記事の他、単行本のライティングも数多く手掛ける。

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