竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

竹増貞信「本業を追求してこそ成長できる」(※写真はイメージ)竹増貞信「本業を追求してこそ成長できる」(※写真はイメージ)
「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 ローソンは以前から、郵便局や調剤薬局などを併設した店舗を展開してきています。最近では、介護相談窓口を併設した「ケアローソン」が好評です。ローソンだけでなくコンビニ各社が、より多くのお客さまに来ていただける店づくりのために知恵を絞っています。

 でも、われわれが多角経営を目指しているかというと、答えはNO。私たちの本分はあくまでも「小売り」です。お客さまのニーズと時代の変化に合わせて、最適な商品とサービスを店頭でご提供する。これが本来の役割。「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」という企業理念のもと、地域とお客さまの生活を支える存在を目指しています。

 40年前には、ローソンで映画やコンサートのチケットを買いたいと思われるお客さまはいませんでした。でもいまは、エンタメはローソンの重要なコンテンツの一つ。宅配サービスの受け付けや各種保険の取り扱いもしかりです。入れたてコーヒーを提供し始めたのも最近のことです。

 現在のローソンのコーポレートスローガン「マチの健康ステーション」も、高齢化社会を支える「セルフメディケーション」と歩調を合わせたものです。医薬品を扱う店舗は全国に約200店。薬剤師や登録販売者の資格が必要なのですぐに全店に拡大することはできませんが、できる限り早く、増やしていきたいと思っています。これは、Eコマースが買い物の手段として定着する中で、リアル店舗が果たすべき役割の一つでもあります。急に具合が悪くなったとき、近くのコンビニで薬が買えたら安心ですよね。24時間営業だからこそ、需要はあると考えました。

 コンビニは食を提供する場でもあります。具合が悪いときは自宅で栄養のあるものを食べたい。でも、自分で作る元気はない。こんなとき、栄養があって食べたいものを家の近くのコンビニで選べる。そういう存在を目指したいと思っています。

AERA 2018年3月5日号

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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