――配布はどのように行うんですか

 プロジェクトに参加している学生が在籍している、東京大学、お茶の水女子大学、青山学院大学、中央大学、創価大学、国際基督教大学、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで配布します。いきなり大人が押しかけるんじゃなくて、まずはプロジェクトの学生に自分のコミュニティーで配ってもらう予定です。学生同士、「友だちにとって大事な問題だから自分も考えよう」と思ってもらえたらうれしいですね。将来的にはアメリカやイギリスのように大学のプログラムにセクシュアル・コンセントを学ぶ時間を組み込んでもらって、そこに私たちが教材を提供するのが理想です。

――「#MeToo」を含め、日本のジェンダーをめぐる状況を改善するにはどうすればいいでしょうか

 私も経験があるのですが、ジェンダーの問題で声を上げるとどうしてもバッシングされやすいんです。性の問題は男女差別や雇用格差など既存の権力構造に切り込むから。だから現状を変えたくないという人が反発している。これからは被害者がその実態を訴える「#MeToo」から、セクハラや性暴力という課題を抱えた組織や社会とどう向き合っていくかをみんなで考える段階にステップアップすべきです。セクハラやパワハラ、性暴力に声をあげる人を応援するムーブメントとして「#WeToo」という動きも出てきています。この問題に無関係な人なんていません。自分も過去に誰かを傷つけたかもしれない、差別的な構造に加担しているかもしれないという過ちを認めて、じゃあこれからはどのような役割を担ってどんな社会にしていきたいのか、一人一人が真剣に考える時が来ていると思います。

(AERA編集部・竹下郁子)

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