年末のカウントダウンライブが終わった後に、事務所のみんなで神社に初詣に行くんですが、よく考えたら、タレント全員で境内で手を合わせて願掛けしてるのって、不思議な光景ですよね。数時間前まであんなきらびやかなステージにいたのに、「なぜいま、ここにいるんだろう」って、ふと我に返ることはあります(笑)。

──錦戸さんが初めてドラマ出演を果たしたのが1998年。つまり、今年で俳優デビュー20年ということになります。

 ええっ、そうなん? うわー、もう20歳か。成人じゃないですか(笑)。俳優として、ちゃんと大人になれてんのかな? 自分じゃまだまだ若手のつもりですけど。

──数多くのテレビドラマや映画に出演されていますが、演技をするうえでこだわっていることはあるんでしょうか。

 毎回、この役をどう演じようかと考えはしますが、役作りに明確な答えを出したことは一度もないんですよ。例えば、馬に乗る役だったり、料理をする役だったりしたらそのための準備はもちろんしっかりやります。それはプロなら当たり前のことで、役作りと言えるのかどうか……。僕の中ではごく自然なことなんです。

──いま33歳。これから少しずつ、中堅と呼ばれる世代に入っていきます。今後の目標はなんでしょう。

 自分が何をやりたいかというよりもむしろ、オファーを受けて「いま、そういう役をやるべき時期なんだろうな」と思うタイプなんです。何であれ、僕のことを見てくれている人が、「こうしてほしい!」と期待してくれることは、自分にとっても必要なこと。求められることは、できる限り何でもやっていきたいと思っています。

(ライター・澤田憲)

AERA 2018年2月5日号より抜粋