──松田龍平さん(34)や木村文乃さん(30)、北村一輝さん(48)など、実力派、個性派とよばれる俳優が勢ぞろいしています。刺激を受けたのでは?

 龍平くんは、昔から出演している映画をよく観ていて、好きな俳優の一人だったので、一緒に芝居できるのが楽しみでした。劇中でも会話をする場面が多かったので、クランクインのときは探り探りだったけど、少しずつ話せるようになって。うれしかったですね。

 北村さんは、ソフトクリームをなめているだけなのにすごい不気味なオーラが漂ったりして(笑)。休憩中は、普通の優しいお兄さんでしたけどね。

 龍平くんも北村さんも、6人の中では群を抜いてアブナイ感じが出ていると思います(笑)。

─錦戸さんが思う、この映画の見どころはどこでしょう?

 やっぱり設定というか、元殺人犯が自分の町にやってくるというシチュエーションは、インパクトがありますよね。でも実際は、殺人犯ではなくても罪を犯して服役していた人は世の中にたくさんいます。一見、非日常的な物語に思えるけど、実はギリギリ、ありそうな設定。そこが「自分のそばにももしかしたら……」っていうリアリティーにつながって、面白いと思うんです。

──「元殺人犯が“普通の人”として生きることの難しさ」が、それぞれの立場から描かれていたように思います。

 難しい問題ですよね。僕も、仲のいい人が実はそうだと知ったら、多少なりともびっくりすると思います。でも、それでもその人のことを人間として好きになっていたら、差別することなんてできないですよ。

 一人一人、罪を犯した理由も違うわけで。同じ「殺人犯」という言葉で、くくってしまっていいのかという思いもあります。もちろん、絶対にやってはいけないことだけれど、考えさせられるテーマですよね。

──映画では、日常と非日常が同時に進行していきますが、最近、「非日常的な出来事」はありましたか?

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