「LGBT」をもっと理解するために(※写真はイメージ)
「LGBT」をもっと理解するために(※写真はイメージ)

 LGBTへの関心が高まる中、よりその理解を深めるためにリブロの野上由人さんがおすすめするのが、『ゲイカップルのワークライフバランス 男性同性愛者のパートナー関係・親密性・生活』(神谷悠介著)だ。

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 ゲイカップルと聞いて直ちに性的なことを想像する向きには期待外れだろう。性交渉に関する記述はない。本書は、ゲイカップルの仕事と生活について書かれた研究書。『パラサイト・シングルの時代』などで有名な山田昌弘氏のゼミ出身、30代の社会学者が博士論文をベースにまとめた単行本デビュー作である。

 共働きで家計はそれぞれ独立していて(共通の財布はなく)、家事は平等に分担し余暇の時間を共に過ごすことが多いというゲイカップル。法制度や社会に残る差別、内面化された男性ジェンダー規範などがどのように作用するのか、社会学の先行研究と独自のインタビュー調査を組み合わせながら、その特徴を記述していく。

「LGBT」への関心が高まり、情報も増えてきた中で、待たれていた内容だろう。続く研究成果の発表も期待したい。

AERA 2018年2月26日号