非正規職の特徴として挙げられるのが女性の多さだ。16年の総務省調査では地方公務員の臨時・非常勤職員の4分の3を女性が占める。このゆがみは海外との比較でより顕著に浮かぶ。

 先進国で構成する経済協力開発機構(OECD)諸国の大半は、公務員に占める女性の割合が男性を上回り、主に公的機関での雇用によって女性の社会進出促進が図られてきた面もうかがえる。しかし日本は、全雇用者に占める公務員の比率が低いうえに、公務員に占める女性の割合もOECD諸国で最も少ない41.9%。しかも、看護師や保育士、給食調理員といった女性労働者が多い、「ケア・サービス労働」に非正規雇用が集中している。前出の上林氏は言う。

「日本は女性公務員の多くを不安定で離職率の高い非正規職に置くことで、公務労働市場から退出させてきた結果、公的ケア・サービスの供給不足と、女性が活躍できる場を奪う悪循環に陥っているのです」

(編集部・渡辺豪)

AERA 2018年2月26日号より抜粋

著者プロフィールを見る
渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

渡辺豪の記事一覧はこちら