自治体はなぜ貯蓄に走るのか。一般会計予算の半額近い財政調整基金を積み上げている中部地方の自治体の財政担当者はこう打ち明けた。

「生産人口の減少で税収減が進む中、国の交付税も絞り込まれ、将来への不安は高まっています。節約、節約でしのいでいるのが実情です」

 この自治体は「節約」の一つとして職員の非正規化を進めた。今は全職員の5割を超える非正規職員の処遇改善にも乗り出しているが、「地域経済に広く利益還元できるわけでもない」(同担当者)として正規職の枠を増やす予定はないという。

 非正規公務員の問題の根深さは、民間の非正社員の法的救済制度の枠外に置かれている点にある。民間の場合、改正労働契約法により有期契約が5年を超えた労働者は無期雇用への転換も可能になるが、非正規公務員は同法の適用対象外だ。

 昨年5月成立の改正地方公務員法なども、勤務時間が1分でも短ければ支給手当が限定されるなどフルタイムとの間で処遇を区別しており、「同一労働同一賃金」の原則に反する(地方自治総合研究所の上林陽治研究員)、との指摘もある。

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