竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
データを制する国が世界を制する(※写真はイメージ)データを制する国が世界を制する(※写真はイメージ)
「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 1月下旬に、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に出席しました。世界中から集まった経済、政治のキーパーソンたちが、そこかしこで議論をしている。勲章も肩書も関係ない「人と人」の議論の場、というダボスならではの自由な雰囲気を体感することができました。

 印象に残っているのは、中国の存在感。自分たちこそ世界の大国だという自信が、言葉の端々にみなぎっていました。例えば、中国が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」のセッションでは、中国経済界の要人が「インフラ事業はリミテッドだが、人材育成はアンリミテッドだ」と発言しました。

 一帯一路の推進は各国のインフラ整備を後押しして経済発展に寄与しますが、それには限界がある。雇用が生まれ、教育を受けて技術を身につける人々が増え、その人たちがそれぞれの国に好影響を与えることのほうが重要で、これは無限大だというわけです。

 アリババの創業者であるジャック・マー氏のセッションも秀逸でした。1994年の北京でのIT会議。当時は回線が未整備で、インターネットはブチブチ切れる、もちろんブロックチェーンなどはない状態の中でITのリスクばかりが議論されました。しかし、20年後のいま、当時懸念されたことは起こらず、想像もしなかった発展を遂げています。国はビジネスを規制するのではなく、いかにヘルプするかの時代だ、と。しかも、デジタル化した中国は13億人という人口、つまり「アナログ」な労働力も抱えている。これが大きな強みの一つです。

 各国首脳や企業人が口をそろえたのは「データの時代」ということです。今後はデータを制する国が世界を制する。頭脳や体内の動きもデータで把握できるようになって、人類がデータにハックされる時代が近づいています。データの蓄積と分析こそが資産。まさにデータイズム社会の到来です。この潮流に遅れることなく、未来を見据えて仕事をしていこうと思いました。

AERA 2018年2月26日号

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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