地方活性の期待をこめ、税金を使いゆるキャラを作っても長期的には地方にほとんど貢献していないという。写真は、昨年三重県桑名市で開かれた「ゆるキャラグランプリ」 (c)朝日新聞社
地方活性の期待をこめ、税金を使いゆるキャラを作っても長期的には地方にほとんど貢献していないという。写真は、昨年三重県桑名市で開かれた「ゆるキャラグランプリ」 (c)朝日新聞社

 地方創生の救世主としてもてはやされる「ゆるキャラ」や「B級グルメ」にも、専門家は疑問符をつける。例えば、自治体が中心になって取り組むゆるキャラの総数は2千超ある。

「税金を投入して、一時的にお客さんを集めてはいるけど、かけた以上に地元にお金が戻ってこないことに尽きます」

 全国で地方創生事業に関わる一般社団法人「エリア・イノベーション・アライアンス」(東京都)の木下斉(ひとし)さんは共著『地域再生の失敗学』(光文社新書)の中で指摘する。

 例えば、お土産店でゆるキャラ関連商品が100万円売れても、ゆるキャラのせいで店頭に置けなくなった商品の売り上げが減る。並ばなくなった商品の売り上げが80万円だったとすれば、増加したのは20万円に過ぎない、と。

 いま地方創生の新たなチャンスとして、訪日外国人客(インバウンド)の増加に取り組む自治体が増えている。「入れ食い」と称されるインバウンドによる地方創生が活発だが、長野で旅館を営む一方、観光コンサルティング会社「ビズユナイテッド」(東京都)を運営する宮口直人さんは、地方創生には「継続性」が重要だと指摘する。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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