地方創生の全体の課題は何か(※写真はイメージ)
地方創生の全体の課題は何か(※写真はイメージ)

 地方創生に携わるコンサルタントの中には、スキルが伴わない名ばかりの者もいるという。見極められない自治体に問題はないのか、そして地方創生の全体の課題は何か。コンサルタントたちの匿名座談会で様々な意見が飛び交った。

●座談会参加者
観光コンサルタントAさん(30代)=全国の地方自治体の観光推進を手伝うコンサルタント。元バックパッカーで世界中を旅して回った経験も

ブランディングコンサルタントBさん(30代)=地方企業のブランディング事業を展開。その実績から、九州や関東近県の商工会議所などからセミナー、コンサル依頼が入る

人材コンサルタントCさん(30代)=クラウドソーシング事業に携わった後、人材サービス会社に。現在、自治体や地方企業に地元出身の専門家を紹介している。

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──地方創生に携わるコンサルタントの問題点が話の中心になっていますが……発注する自治体側にも責任があるのでは?

C:もちろん、少なからずあるでしょう。私が関係している分野でいえば、移住促進ひとつとっても「とにかく移住者を増やしたい」という漠然とした希望だけで事業プランを公募される自治体もあります。本来なら「移住者が1人増えれば、域内の消費が年間○○万円増えるので、△△人増やしたい」という具体的な希望があって、それに見合った事業プランを練るところでしょう。そもそも税金を投じた事業なのですから、最終的にどれだけ税収が増えるかも試算すべき。

A:地方の過疎化が深刻ですが、それを補うためにどれだけ観光客を呼び込めばいいのかも認識していない自治体が少なくありません。試算によれば、1人減るだけで地元に落ちるお金は年間125万円減る。これを観光客で穴埋めしようと思ったら、外国人観光客は一回の旅行で15万~20万円使うと言われているので、7~8人呼ばないといけない。

C:でも、そういう試算ができないから、耳触りのいい事業プランをかたちだけつくって応募してくるコンサルタントに発注してしまう。だから、せっかく地方創生交付金が支給されているのに、その大半が実は域外に流れていたりする。昨年9月に京都新聞が、地方創生加速化交付金を使った滋賀県の事業費の3分の1以上が県外の企業や団体に支出されていたことを報じて、愕然としました。

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