15年にアメリカで誕生した世界初の女子アイスホッケープロリーグ「NWHL」のニューヨーク・リベターズでプレーし、日本人初のNWHL選手となった守護神のGK藤本那菜(28、ボルテックス札幌)は「日本のプレーを出しきることができれば、普通に予選ラウンドは突破できる」と自信を見せる。

「日本の持ち味のスピードと60分間足を止めない運動量は、4年前と比べて格段にレベルが上がっています。気をつけないといけないのは自分たちで流れを崩してしまうこと。守備の形はできていますし、あとはチャンスでしっかり決めきれるかだけです。だって、毎月のように合宿して、相当練習してきましたから(笑)。それにメンバーのほとんど(23人中15人)が前回のソチを経験していることもプラスに働くと思うんです」

 この4年でチーム力が大きく向上した裏には、前回のソチ五輪に初めて予選を突破し出場したことが影響している。ソチの予選時には、代表選手の中にも競技を続けるために定職に就けずにアルバイトで生計を立てている選手も少なくないなどマイナー競技ゆえの厳しい環境があった。だが、ソチに出たことで支援する企業が出るなど環境は変転。いまではアルバイト選手はいなくなり、企業に属しながらも競技を優先できる選手がほとんどとなった。環境の変化は、チーム力アップに直結した。

 前回ソチも経験したDF小池詩織(24、道路建設ペリグリン)はこう話す。

「4年前は、個人としてもチームとしても、ただガムシャラにやっていました。けど、今回は結果を残さないといけないという責任感がある。戦い方次第ではメダルも夢じゃない」

 スマイルジャパンは5戦全敗と4年前にソチで味わった悔しさを、平昌で笑顔に変えられるか。(スポーツジャーナリスト・栗原正夫)

AERA 2018年2月12日号