NPO法人ハナラボは、横浜市や島根県海士町(あまちょう)などの自治体から、富士通などの企業まで、官民問わずさまざまな組織から依頼を受けて、社会的課題を解決してきた。

 その主役は女子大学生。ハナラボ代表の角めぐみさん(48)は言う。

「彼女たちの適応力や感受性、共感力の高さは、既存の社会問題にこれまでにないアプローチの解決策を提案してくれます」

 例えば、海士町から「未婚の男性が増えているので、何か手が打てないか」という相談があったとき。ヒアリングで、海士町の男性たちの魅力や価値観が女性たちにうまく伝わっていないことを発見した女子学生たちは、互いの恋愛観や結婚観がわかるカードゲーム「恋札」を開発した。

 横浜市の大佛(おさらぎ)次郎記念館のPR事業では、大佛次郎が愛妻家だったこと、館内が「インスタ映え」することに着目。結婚式の撮影場所に使うなどのアイデアで、来館者数を増やした。

「彼女たちにはいい意味で常識がありません。大人だったら尻込みするような企画にも臆せず戦して、成功させてしまう力をもっているんです」

 角さんがハナラボの活動を始めたのは、いまの社会に女子学生たちが潜在能力を発揮できる場が少ないと感じたからだ。

「いまの子どもは自己肯定感が低いといわれていますが、それは大人が子どもたちの力を軽んじていることにも原因がある。信じて頼れば、自信は自然と育まれます」(角さん)

(ライター・澤田憲)

AERA 2018年2月5日号より抜粋