竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

竹増貞信「英語で話す時は『シンプル』が肝心」(※写真はイメージ)竹増貞信「英語で話す時は『シンプル』が肝心」(※写真はイメージ)
「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 企業のグローバル化が進むいま、ビジネスで英語を使うことは当たり前になっています。正直に言うと、私は決して英語が得意ではありません。でも、流暢な英語を話すことはできなくても、ビジネスを円滑に進める方法はあります。

 大学3年生の終わりから1年間、米オレゴン州のポートランド州立大学に留学していました。見聞を広めたり友人たちと交流を深めたりすることに専念していたので、英語はあまり上達しませんでしたが、得たものはあります。

 私は大阪府郊外の出身で、町で外国人を見かけることはほとんどなかった。大学入学後も交換留学の学生と触れ合うくらい。それが、留学先には世界中から肌や目の色、体格などが全く違う男女が集まっていた。

 拙い英語で毎日接するうちに、当然のことながら「みんな同じ人間なんだ」という思いを強くしました。

 どの国の学生も、勉強もすれば酒も飲む、恋愛もバカな話もする。英語が苦手だからと気後れすることなく、一人の人間として接すればいいのだとわかった。その結果、外国人を前にして動じない気持ちが培われたと思います。

 三菱商事でアメリカの工場に出向していた時は、外国人の社員が1300人くらいいました。米国人3割、メキシコ人7割。心がけたのはとにかくシンプルに伝えることです。日本向け商品の仕様や品質管理について間違ったことが伝わると、作ったものがすべてムダになる可能性がある。ニュアンスの違いを出そうなどと思わずに、伝えたいことを単純明快に話しました。

 NOはNO、YESはYESとはっきり意思表示する。ビジネスではシンプルな英語に勝るものはありません。社長になってからも、これは徹底しています。

 ローソンではダイバーシティーを促進していて、海外からの留学生もどんどん採用しています。どの社員にも英語に臆することなく、グローバルな仕事にチャレンジしてもらいたいと願っています。

AERA 2018年2月5日号

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竹増貞信

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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