石島さんが言うように、実は日本は「発酵大国」と言えるほど、各地域に発酵系食品が存在する。

 中には、先祖代々、大切に製法や「漬け床」を受け継ぐというものも。例えば、ぬか漬けが庶民に広まった起点とされる北九州市では、ぬか床が受け継がれている家庭も多く、300年近い歴史があるぬか床も。「嫁入り条件が『ぬか床を受け継ぐこと』だった」(市内在住の女性)というほど、伝統の継承に並々ならぬ思いを注ぎ込んできた。

 発酵食には各地の味噌や、いしる、しょっつるなどの調味料も目立つが、より地域色が濃いのは、漬物だ。東海漬物(愛知県豊橋市)の漬物機能研究所の研究員・森下美香さんによると、一般的に日本では約100種類の漬物があると言われ、中にはぬかや味噌、麹など、発酵食品の調味料に漬け込んだものや、漬け床内で菌が働き漬物自体が発酵しているものなど、多彩な種類があるという。

「元々は保存食で、越冬目的でつくられていました。冬につくられる漬物は発酵タイプが多い印象があります」

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