A:円安で資金繰りに苦しんでいる経営者をなんとか助けたいと思って、綿密な段取りをして稟議を通し、ピンチを救えた時はこの仕事をしていてよかったと思いました。

B:若いうちから中小企業の社長と直接話ができるのは銀行員の醍醐味だと思います。

──出世と年収について教えてください。

A:最初の大きな節目は入行7年目で支店長代理、本部の調査役級になれれば900万円超。そこで順調に昇進できるのは同期の5~6割です。その先、節目ごとに半分ずつ振り落とされていく感じ。11年目に課長級になれば1200万円程度。15年目に支店の次長、本部の上席調査役になれば1400万円くらい。入行20年目で次長級になれば1600万円。部長、理事や役員になれるのはごく一部です。

C:僕は入行4年目で年収400万円超。

D:私は一般職1年目で約300万円でした。いま5年目で400万円、手取りにすると300万円程度です。

──銀行は長時間労働の巣窟だった印象がありますが、「働き方改革」で変わりましたか?

B:朝は8時40分始業、夜はだいたい19時過ぎに退社してます。今は事前に上司に申告しないと残業できません。仕事量は膨大なので、業務時間内にこなすために時間外で情報を整理したりとか、仕事のことを考えてる時間は長いかも。残業代が減るのは家計的には困りますね。

A:本部のあるビルはかつて「不夜城」と呼ばれていましたが、今は特別な事情がない限り20時以降残れません。昔はパソコンの電源を落としたあと、稟議書は手書きして、翌朝入力しろと言われていました。電通の新入社員の過労自殺を受けて、パソコンを消した時間と実際に退館ゲートを出た時間に開きがないか厳しくチェックされています。

C:残業はほぼゼロです。週に2日は17時に終わり、他の日でも18時半には帰れる。ワーク・ライフ・バランスは最高です。

D:ただ、やっぱり残業代がなくなるのは痛いです。経費は削減したいけど人のクビは切れないから、労働時間を減らそうということなんでしょうけど。

(構成/編集部・石臥薫子)

AERA 2018年1月22日号より抜粋