このビジネスが運営会社の間で着々と根を張り続けている。もちろん、銀行業界が警戒していることは言うまでもない。

「いったん加盟店となれば、その店のローンに参入する余地はほとんどなくなる」

 メガバンクの個人・中小零細企業向け業務の担当者は、焦りの表情すら浮かべている。

 この事態に対して、金融庁は銀行法を改正し、銀行グループの持ち株会社が電子商取引の運営会社を傘下に置ける道を開いた。画期的な規制緩和だが、率直に言って、銀行の出遅れは甚だしく、キャッチアップは奇跡に近い。むしろ、既存の独立系eコマースの会社は銀行があれこれ思案を巡らしている間に、日々、ネットワークを増殖し続けている。距離は開くばかりと言っていい。

 グローバルな存在もある。eコマースの巨人、中国のアリババ集団の日本上陸である。この集団の電子マネー、アリペイが一挙に国内で拡散しかねない。トランザクションレンディングの機能も備えているのだ。(金融ジャーナリスト・浪川攻)

※AERA 2018年1月22日号より抜粋