映画「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」(マイケル・ロバーツ監督、全国で公開中)のマノロ・ブラニク。自然や植物からヒントを得てデザインを描く様子も映される (c)HEELS ON FIRE LTD 2017
映画「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」(マイケル・ロバーツ監督、全国で公開中)のマノロ・ブラニク。自然や植物からヒントを得てデザインを描く様子も映される (c)HEELS ON FIRE LTD 2017
芸術品のような美しさと履きやすさを誇るマノロ・ブラニクの靴。日本では東京・銀座の「GINZA SIX」など全国百貨店に6店舗を展開する (c)HEELS ON FIRE LTD 2017
芸術品のような美しさと履きやすさを誇るマノロ・ブラニクの靴。日本では東京・銀座の「GINZA SIX」など全国百貨店に6店舗を展開する (c)HEELS ON FIRE LTD 2017
映画「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」(ライナー・ホルツェマー監督、1月13日から公開)で初めてプライベートを公開したドリス (c)2016 Reiner Holzemer Film-RTBF-Aminata bvba-BR-ARTE
映画「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」(ライナー・ホルツェマー監督、1月13日から公開)で初めてプライベートを公開したドリス (c)2016 Reiner Holzemer Film-RTBF-Aminata bvba-BR-ARTE
監督は3年にわたる説得の末、撮影に成功した。創作風景やコレクションの舞台裏も興味深い (c)2016 Reiner Holzemer Film-RTBF-Aminata bvba-BR-ARTE
監督は3年にわたる説得の末、撮影に成功した。創作風景やコレクションの舞台裏も興味深い (c)2016 Reiner Holzemer Film-RTBF-Aminata bvba-BR-ARTE

 ファッション業界のドキュメンタリー映画が目立つ。マノロ・ブラニクとドリス・ヴァン・ノッテン。日本でも人気のデザイナーに密着した話題2作品が公開される。

【写真】芸術品のような美しさと履きやすさを誇るマノロ・ブラニクの靴

 映画「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」の主人公は、シューズデザイナー、マノロ・ブラニク(75)。幼いころから靴に興味を示し、庭のトカゲにチョコレートを包む銀紙で靴を作った逸話の持ち主だ。

 1971年にブランドをスタートさせ、故ダイアナ妃やマドンナなど多くの顧客を持つ。98年にドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」の主人公が愛用したことで世界的にブレークした。

 特徴はその美しさと“世界で唯一走れるピンヒール”と言われる履き心地のよさ。映画からはチャーミングな人柄と、いまも靴の原型をすべて自分で作る“職人”ぶりがうかがえる。

 もう一つの映画「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」の主人公はデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン(59)だ。ベルギーで3代続くテーラーの家に生まれ、幼少時代から服に親しんだ。86年に自身のブティックをオープン。ミシェル・オバマ前大統領夫人、ニコール・キッドマンらも彼のファンとして知られる。

 服の生地はほぼすべてがオリジナル。独特の色遣いやプリント、繊細な刺繍などが特徴だ。映画ではインドにある刺繍工房も紹介され、現地職人による手仕事のすごさがわかる。カメラは豪奢な自宅や庭園にも潜入。28年連れ添うパートナーとの暮らしぶりも紹介する。

 マノロとドリスの二人に共通するものは多いと、ファッションジャーナリストの宮田理江さんは話す。

「ドリスは手仕事にこだわりを持ち、トレンドに流されないデザイナーです。マノロも同じく、その靴は“靴のロールスロイス”と呼ばれるほどの履き心地で、デザインもベーシックなものが多い。どちらにも“タイムレス”な魅力があります」

 なぜファッション映画が続くのか。ブランドのPR戦略? マノロ ブラニクのロンドン本社ホールセールマネジャー、ロベルト・コンファローネは話す。

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