両親が共働きの一般家庭に育った。神職を目指すことになった大きなきっかけは中学3年の時。家族で京都の伏見稲荷大社を訪れたが、そこで多くの人がお祈りをしている姿を見て心を打たれた。

「神道が伝統の中に脈々と受け継がれていると感じ、伝統や文化を受け継ぎ伝えていく仕事をしたいなと思いました」

 大学では雅楽のサークルに入り、管楽器の笙(しょう)を担当。就職は神職一本に絞り、神奈川県内の神社への奉職が決まった。

 とは言え、神職の仕事は力仕事なども多くて大変だ。女性神職は地鎮祭などの安全祈願では「女なんかに」と敬遠され、神事の中には女性が関われないものもある。だが一方で、女性神職ならではのよさもある。神道学者で、国学院大学の茂木貞純(もてぎさだすみ)教授(神道学)は言う。

「古来、女性は神聖な神役を担い、何より心配りが細やか。初宮参り、七五三のお祝いなどでは『場が和やかになる』と喜ばれ、女性神職が好感を持たれることも少なくありません」

 女性のさらなる活躍に期待したい。(編集部・野村昌二)

AERA 2018年1月15日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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