「マイリーは、サービス事業者や自治体などが行う、移動サービス向けに開発をしました」

 と加藤さん。マイリーの走行速度は、時速10~20キロ。過疎地や山間部などの特定の地域内で、目的地が同じ複数の人たちが乗り合う移動サービスを想定している。18年には、愛知県内の自治体と共同で、私有地や公道を走行する実証実験を行う計画だ。

●ちょっと移動したいとき

 見据えるのはそれだけではない。自動運転によって、都市部での移動サービスも大きく変動すると考えている。

「アメリカでは、『ウーバー』のようなライドシェアのサービスがはやっても、既存のタクシー業界の売り上げはそれほど落ちなかったんですね。お客さんがライドシェアに流れたんじゃないんです。これまでタクシーを利用していなかった人たちも、移動サービスを使うようになったんです。例えば1~2キロちょっと移動したいというときにタクシーは利用しにくいが、自動運転の移動サービスなら使いやすいというふうにしていきたい」(加藤さん)

 一般のドライバーが利用者を運ぶ「ライドシェア」は、日本でも規制を緩和する国家戦略特区で始まりつつある。自動運転によるライドシェアであれば、より効率的で使い勝手がよくなる。自動運転によって、潜在的な移動ニーズが掘り起こされ、多くの人たちが移動しやすくなりそうだ。(編集部・長倉克枝)

AERA 2018年1月1-8日合併号