(2)相続人以外の寄与分

 現行法では、相続人が被相続人の財産の維持や形成に貢献した場合、その貢献度合いに応じた寄与分が認められ、遺産を多くもらえる。

 しかし、この規定は相続人に限定されるので、例えば、父親の介護を長男の妻が献身的に続けても、そもそも相続人でない長男の妻には寄与分は認められない(長男の寄与分と認定されるケースが多い)。それを法改正によって長男の妻などの第三者にも寄与分を認める方向のようだ。

(3)自筆証書遺言のパソコン利用

 遺言の種類のひとつである自筆証書遺言は、全文を自書する必要がある。だが高齢の遺言者がすべてを自書するのは大変でもある。そこで財産目録部分だけはパソコンなどで作成してもよいとする見直しが行われそうである。

 自筆証書遺言を法務局などで保管する制度も新たに作られる可能性があるようだ。どこかにしまい込んだまま行方不明になってしまったり、銀行の貸金庫に入れて凍結されてしまったり、といったトラブルが防げる。

 このように、税制に限らず、法律はその時々で見直されていく。その改正は、人それぞれに好影響や悪影響が及ぶ可能性がある。少しでも意識をして見守っていくことが、自分や家族の将来を守ることにつながるだろう。(ファイナンシャルプランナー・菱田雅生)

AERA 2017年12月25日号より抜粋