たかし「遺産分割というより、感情の争いですね。相続問題って、うらみ、つらみが積もり積もった末の骨肉の争いであることが多いんです。家族なのに、悲しい話です」

まつ子「こんな話、子どもたちに聞かせたくない。のの子、カレーが作ってあるさかい、あっちで食べとき」

のの子(小3)「でも、うちは仲がいいから大丈夫でしょ。ね、お兄ちゃん」

兄のぼる(中2)「意識したことなかったけど、そういう話を聞くと、わが家は意外といい家族なのかもね。これからも、みんな仲良くしていこうね」

たかし「そうだな。相続に一番重要なことは、家族同士の絆が壊れていないかどうかってことなのかもしれないね」

しげ「ほんまやわ。なんか、心が温まってきた。家族会議、ええんちゃうか」

のの子「おばあちゃんやお父さん、お母さんが残してくれるお金は、感謝しながら、大切にもらわないとね」

まつ子「のの子、3年生なのに立派なこと言うやないの。ちょっと見直したわ」

のの子「うわぁ、ほめられた。また、家族会議やろうね」

(編集部・山本大輔、江畠俊彦)

AERA 2017年12月25日号