すると、ほどなくして番組の企画で採用が決まったという連絡が届いた。

「もう無理だよねえという話を周りともしていたので、まさか来てくれるとは」(小枝さん)

 かくして香取さんは嘉瀬駅を訪れることになった。修復作業は28日から3日間。自身も作業を手伝った小枝さんによれば、香取さんは夜遅くまで一人で現場に残り、朝も早くから一人で作業を続けたという。

 今や、多くのSMAPファンの「聖地」となった嘉瀬駅。20年後、再び香取さんに塗り直しに来てほしい、と小枝さん。

「その時、香取さんは60歳。還暦のお祝いに赤いつなぎを用意して待っています(笑)」

(編集部・野村昌二)

AERA 2017年12月25日号

著者プロフィールを見る
野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

野村昌二の記事一覧はこちら