20年ぶりに香取さんの手で塗り直された「慎吾列車」。各地から続々とファンが訪れる。香取さんはこの列車が「地域のためになればいい」と話していたという(撮影/編集部・野村昌二)
20年ぶりに香取さんの手で塗り直された「慎吾列車」。各地から続々とファンが訪れる。香取さんはこの列車が「地域のためになればいい」と話していたという(撮影/編集部・野村昌二)

 元SMAPの香取慎吾さんが描いた列車が、津軽鉄道の嘉瀬駅にある。20年前に描いたその列車が、今年塗り直された。「慎吾列車」に会いに、多くのファンが訪れる。

 元SMAPの香取慎吾さん(40)が、日本最北の私鉄、津軽鉄道(青森県五所川原市)の嘉瀬(かせ)駅を訪れたのは、2017年5月28日夕刻のことだった。そ
の車両と「再会」するのは20年ぶり。

「ボロボロじゃん!」

 香取さんは、そう驚いた後、

「こんだけボロボロになるぐらい、20年、オレ頑張ってきたんだなぁ」

 と、しみじみ語った。紆余(うよ)曲折があったSMAP解散劇から約半年。心身ともに疲れ切っていたであろう香取さんは、窓が割れるまで劣化した車両と自身の歩みを重ねたのかもしれない。

 車両はキハ22028。ちょうど20年前の1997年、20歳だった香取さんが、テレビ番組の企画で地元の小学生たちと絵を描いた、思い出の車両だ。「夢のキャンバス号」と名づけられたが、ファンの間では「慎吾列車」として知られている。香取さんは、このボロボロになった列車を塗り直すためにやってきたのだ。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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