山田家の家系図(AERA 2017年12月25日号より)
山田家の家系図(AERA 2017年12月25日号より)

 この年末、ののちゃんが暮らす山田家で家族会議が開かれた。テーマは相続。「自身の死後も家族が幸せでいられるよう、今からみんなで考えたい」という、父たかしの提案だった。高齢化社会の今、誰もが直面する相続問題。ぜひ、みなさんも一緒に考えてみませんか?

*  *  *

 2017年12月末、たまのの市にある山田家。朝日新聞朝刊の連載漫画でおなじみだ。年越しまで残り数日だというのに、大掃除などはどこへやら。こたつでミカンを食べまくるののちゃん(小3)のそばで、兄のぼる(中2)は居眠りをしていた。祖母しげ(70)と母まつ子(40)はテレビ番組に爆笑しながら、おしゃべりざんまい。年末の慌ただしさとは無縁の山田家には、いつものように、まったりとした時間が流れていた。

 そこへ父たかし(40)が帰宅。居間に入るなり開口一番に出た提案に、誰もが驚いた。

たかし「今から家族会議を開く。相続について考えよう」

まつ子「相続ってなんや?」

 ののちゃんは、ぽかんとしながら「それって食べられるの?」。

のぼる「えっ、誰か死ぬの? お父さん、もしかして重い病気でも見つかったとか」

たかし「違うよ。お父さんは元気ですよ。ただ、さっき行った歯医者の待合室で週刊誌のAERAを読んだら、相続特集をやっていて、『相続は早めの準備が重要。年末年始に家族で話しあおう』って書いてあった。実は最近、会社の同僚がちょうど相続問題に巻き込まれてね。これが結構深刻で、もし自分だったら、と青ざめたよ……」

 同僚によると、こんなことがあったという。父親が急死し、その遺産を弟と半分ずつ相続することになった。母親はすでに他界。2世帯住宅の1階に1人で住む父親の面倒を、2階で暮らす同僚夫婦が見ていた。どこで何をやっているのか分からない弟は、父親や同僚と仲が悪かった。それでも父親の死を知ると、何十年かぶりに同僚の家にやってきて、「法律で認められた当然の権利だから」と言い、遺産の半分を求めてきた。

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