副業の解禁は、地方にとってものすごいチャンスです。これからは地方が、副業の舞台になる」

 小城さんによれば、地方の企業や自治体にとって、大都市で働くフルタイム人材の報酬は高すぎる。でも、週1~2日分なら払えるし、戦略立案などが仕事なら、その日数で十分。重要なのは、その人に何をやってほしいのか、ミッションやゴールを明確にしておくことだ。

「でなければ、期待する効果は得られません」(小城さん)

 福山市では締め切り後、早々に戦略顧問の選考を開始。来年4月着任を目指している。

 神戸市や奈良県生駒市のように、地域の活性化を目的に公務員の副業・兼業解禁を打ち出す自治体もある。

 地方公務員法では、営利企業で働くことを制限する規定があり、報酬を得る活動には首長の許可がいる。例えば、神戸市は従来、相続した不動産からの賃貸収入や農業収入、講演の謝礼などに限って認めてきたが、公共性の高い地域貢献活動による報酬にも、その枠を広げている。

 公務員の副業については歓迎する声がある一方で、公共性や利益相反のチェックがどこまでできるのか、といった課題も指摘されている。神戸市で公務員による公共性のある副業が解禁されて半年以上たつが、副業申請は2件。同市の担当者は言う。

「高齢化が進んで、地域の課題解決に取り組む担い手が不足している。そうした分野で手を挙げる人が出てきてほしい」

(編集部・石臥薫子)

AERA 2017年12月18日号