資産運用アドバイザー 尾藤峰男さん(63)/びとうファイナンシャルサービス代表。日興証券で海外法人社長などを経験し、2000年から現職。近著に『バフェットの非常識な株主総会』(写真:尾藤さん提供)
資産運用アドバイザー 尾藤峰男さん(63)/びとうファイナンシャルサービス代表。日興証券で海外法人社長などを経験し、2000年から現職。近著に『バフェットの非常識な株主総会』(写真:尾藤さん提供)
アメリカ株口座の人気銘柄 ベスト10(AERA 2017年12月18日号より)
アメリカ株口座の人気銘柄 ベスト10(AERA 2017年12月18日号より)

 アメリカの株式市場の上昇が止まらない。アメリカ株は日本株と何が違うのか。アメリカ株投資のメリットとは?

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「アメリカの株というと難しそうなイメージを持つ人もいますが、実際はアップルやアマゾン、フェイスブック、コカ・コーラなど日本人にも身近な企業がたくさんあります」

 と話すのは、アメリカ株投資に詳しい資産運用アドバイザーの尾藤峰男さんだ。

 多くの人にとって株式投資の最大の目的は利益を得ることだが、アメリカ株はこうした点でも優位性が高いと話す。

「株式投資の利益は、保有している間受け取り続ける配当と、株価の値上がり益の2種類に分けられます。アメリカ株はいずれも、日本株と比較してパフォーマンスが良好です」

 アメリカの上場企業は株主への還元を重視する傾向が強く、配当金を増やす「増配」を続ける企業が多いという。

「日用品大手のプロクター アンド ギャンブル(P&G)は61年、ジョンソン エンド ジョンソンは55年、ペプシコは45年も増配を続けています。長期で保有すれば配当だけで投資のモトが取れてしまうことも」(尾藤さん)

 尾藤さんの試算によると、ジョンソン エンド ジョンソンの株を2000年に購入していた場合、株価は2.5倍にまで値上がりしている。しかも増配を続けているため、配当利回りはなんと6.8%に達している。これがもし投資したのが1980年であれば、株価はなんと70倍、配当利回りは190%と、投資額の倍額に近い配当金を1年で受け取ることができるのだ(いずれも16年末時点)。

 さらに、アメリカ企業は、配当と並ぶ株主還元策である「自社株買い」にも積極的だ。企業が自ら株を買い戻すと、発行済み株式総数が減って1株当たりの利益や価値が増加し、株価の上昇につながりやすいのだ。

 企業が株主還元を重視する背景のひとつに、アメリカでは企業同士の株式持ち合いが少ないという背景があるという。いわゆる「モノ言う株主」が多いので、株主還元に対するプレッシャーが大きいのだ。

「配当と自社株買いを合わせた株主還元の指標である総還元性向は、日米で倍以上の開きがあるとする調査結果もあるほど。アメリカは投資家にとっては有利な環境といえます」(尾藤さん)
 
(ライター・森田悦子)

AERA 2017年12月18日号より抜粋