それでも男性がベンチャー企業を辞めずにいたのは、男性の人脈によって新規事業がいい方向に進み、やりがいを感じていたからだ。

 しかし10年目、あっけなく本業と副業の両立は終了した。

 新規事業に乗り気だった社長が失脚し、新社長は「採算が合わない」と打ち切りを決定。いつの間にか「旧社長派」と見られていた男性は「退職」に追いやられた。

 いまになって思う。自分は「副業OK」をエサにうまく利用されたのではないか、と。

「新規事業がうまくいくかどうかは不透明。『この人は副業もあるし、まぁいいか』的な扱いで使うだけ使い、『辞めても困らないだろう』と幕を引かれた」(男性)

(ライター・羽根田真智)

AERA 2017年12月18日号