先の、警察からGPSを装着された男性の弁護を担当した亀石倫子(みちこ)弁護士も、国内の状況についてこう懸念する。

「今後、科学技術がさらに進歩し、GPS以外にも私たちが想定していない新たな技術が次々と開発されていく。警察は犯罪捜査に役に立つものが出てくると、どんなにプライバシーを侵害する恐れがあろうとまず任意捜査と称し、つまり令状を取らずに捜査を行います。監視はこれからどんどん行われるようになる。人権とのバランスを取る仕組みが必要です」

 監視社会に警鐘を鳴らすジャーナリストの斎藤貴男さんは、日本人は将来「監視の海」にのみ込まれていくとみる。

「監視カメラや顔認証、GPSなど、一見バラバラに見えていた監視ツールが連結され、思想統制されていく危険性がある(編集部・野村昌二)

AERA 2017年12月11日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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