ここで、いつもの私のスケジュールをお伝えしましょう。朝は7時半に起きます。お風呂に入りまして、朝ご飯を食べて、9時半くらいに家を出て、毎日同じ電車に乗ってTBSに出勤。ラジオは11時に始まって1時に終わります。その後に1時間くらい反省会。それから、執筆をしたり、会議をしたり。生活スタイルは今までで一番サラリーマンなんですよ。毎朝、みなさんがスーツという戦闘服を着て会社行くのをみて「大変だな」って思うわけです。40年も50年も続けるわけですから。体力がいかに有限かということが身に染みる毎日なんですよ。

 体力と関係しているのが集中力です。これがもうぜんぜんだめ。やる気はあるんですが、気が付けば同じところを読んでいるとか、おもしろいことを思っていたはずなのに、書き出したら忘れてるとか。ペンを取りに行き、消しゴムを置いて帰ってきて、次に入った部屋で私はなんでここにいるんだっけ?と思う。 

 『時間、体力、集中力』この3つのリソースが有限だってことを、みなさんすぐ忘れられちゃうと思うんです。私もそうです。

 さらに『未来は不確定』です。何が不確定か。

 勤め続けていれば給料が上がるというのは10年くらい前になくなりましたし、みんながみんな正規社員というのもなくなりました。そんな中、頼んでないのに寿命が延びました。そうすると、国からのサポートが自動的に減ります。私は現在44歳で年金は払ってきていますが、私たちの世代がもらえるのはたぶん10万くらいだろうなと思ってます。

●やった気にさせるシステム

 そうなると不安しか残らないんですよ。だから今、みなさんがざわざわする気持ちを持っているのはもう当然。でも、これがデフォルトなんじゃないかと。何かをし損なっているからこうなっているわけでもなんでもない。

 どういうことかというと、誰も生きたことのない未来を私たちは生きているわけですよ。かっこいい言い方をすれば。お手本がいないですよね。お手本がいないとなると、だれかがお手本にならなきゃと思うかもしれないけど、それともちょっと違って、とにかく臨機応変に状況がかわっていく度に、自分の生き方を変えていかなきゃいけないんで、適度な記憶喪失になっておく必要があると思うんです。

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