「上の男のことしか見ていない。本人は出世したつもりでいても、自分では何もできない。私はこれを大奥人事と呼んでいます」(河崎さん)

 この構造を「優秀じゃないのに女だから優遇されてズルい」と男性が咎めるのは、早計だ。忖度の才能しかない上司の下に配属された部下は苦痛だが、同じ手法で出世した男性も多くいる。問題は、女性の出世が大奥人事一辺倒になりがちなことだ。

「女性管理職に全員優秀であれと要求するのは理不尽です。出世する男性同様、有象無象でいい。女性出世の課題は、多様性を確保できるかでしょう」(同)

 女性側の課題もある。周囲に男性が多かったため、女性上司との付き合いや共闘に不慣れ。

 つまり、これからなのだ。

「大学生の娘の話には、男尊女子的な要素は見当たりません。学校行事や模擬国連などの外部でも、女子が活躍する世界に慣れている。社会に出ても女性は今以上に増えていて、旧弊な男尊女卑や男尊女子がまかり通るとは思えません」(同)

 前出の酒井さんも、「個人差があるので一概には言えませんが、若い世代では、男尊女子度は減っていると感じます。男女の役割や関係性は、時代によって変わるもの」という。

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