競争すべき相手は国内の他大ではなく世界の大学です。「18歳の日本人」だけに目を向けて取り合いをする発想ではダメなのです。先進国で、大学に20歳前後の学生しかいないような国はありません。時代の変化に適応するために学び直しをする社会人や、高齢者など多様な人が学んでいます。それが高等教育のあるべき姿でしょう。



 日本がそうなっていないのは、働き方の問題もありますが、もう一つのネックは学費です。社会人も奨学金をもらえるような仕組みが必要になるでしょう。

 若者についても日本の学生の7割は私立大学で学んでいますが、1人当たりの公財政支出は国立大学が私立の約13倍です。そのしわ寄せを受けるのは多くの場合、学生のご家庭です。大学は学費ではなく、何を学びたいかで選べるようにすべきです。そのためには国立か私立かに関係なく、学生の負担がさほど違わないような仕組みが必要でしょう。これは大学のためではなく、学生一人ひとりのためです。日本では教育に対して財源をしっかり使っていくという考え方がまだまだ足りない。そこを変えていくべきです。(構成/編集部・石臥薫子)

AERA 2017年11月27日号