松蔭大学は収容定員充足率過去3年平均が30%、科研費の伸び率が143%、自己資金比率98%。本厚木駅前にはパチンコ店を改造した「厚木ステーションキャンパス」を置く (c)朝日新聞社
松蔭大学は収容定員充足率過去3年平均が30%、科研費の伸び率が143%、自己資金比率98%。本厚木駅前にはパチンコ店を改造した「厚木ステーションキャンパス」を置く (c)朝日新聞社
収容定員充足率の低い大学/【収容定員充足率】学部全学年の合計定員に対する在学学生数の割合。大学情報公開サイト「大学ポートレート」に記載されている私立大学約600校のデータから、2015年、16年、17年の「収容定員」「在籍学生数」を抽出。充足率の平均値(小数点第1位で四捨五入)を求めた/【科研費の伸び率】文部科学省が公表している「科学研究費助成事業の配分」のデータから、16年度と17年度の科研費の総額を抽出。伸び率を計算した。「―」は、両年度もしくはどちらか一方の科研費がゼロだったケース/【自己資金比率】大学の「総資産(土地や建物などの固定資産と現金、預金などの流動資産の合計)」に占める「純資産の合計」の割合。各種資料や大学公表の貸借対照表から算出した。16年3月31日現在の数値を用いたが、※は17年3月31日の数値で計算している(AERA 2017年11月27日号より)
収容定員充足率の低い大学/【収容定員充足率】学部全学年の合計定員に対する在学学生数の割合。大学情報公開サイト「大学ポートレート」に記載されている私立大学約600校のデータから、2015年、16年、17年の「収容定員」「在籍学生数」を抽出。充足率の平均値(小数点第1位で四捨五入)を求めた/【科研費の伸び率】文部科学省が公表している「科学研究費助成事業の配分」のデータから、16年度と17年度の科研費の総額を抽出。伸び率を計算した。「―」は、両年度もしくはどちらか一方の科研費がゼロだったケース/【自己資金比率】大学の「総資産(土地や建物などの固定資産と現金、預金などの流動資産の合計)」に占める「純資産の合計」の割合。各種資料や大学公表の貸借対照表から算出した。16年3月31日現在の数値を用いたが、※は17年3月31日の数値で計算している(AERA 2017年11月27日号より)

 全国の大学が「2018年問題」に戦々恐々としている。18歳人口はこの年を境に減り続けるとされ、文部科学省が「大学効率化」の方針を示したことで、すでに「定員割れ」している私立大学を中心に「閉校」の文字もちらつく。そこで本誌は、全国の私立大学のサバイバル能力の数値化を試みた。

【ランキングはこちら】私立大学の“サバイバル能力”を数値化した結果は…

 指標としたのは、「収容定員充足率の過去3年平均」「科研費の伸び率」「自己資金比率」だ。

「収容定員充足率」は学部全学年の合計定員に対する在学学生数の割合で、100%未満が「定員割れ」。収容定員充足率の過去3年の平均をとることで、「大学の安定的な学生を集める力」を見ることができる。「科研費の伸び率」では、大学や研究機関の研究に必要な資金を国が助成する「科学研究費」が16年度から17年度にかけてどれくらい増えたかを示した。これは大学の学術研究の質を測るバロメーターにもなる。「自己資金比率」は、大学経営の健全性を示すもの。16年3月末時点の大学の総資産に占める純資産の割合を示した。90%以上なら健全性が高く、75%を下回ると相対的に負債が多いと見ることができる。

収容定員充足率の低い順に50大学を並べると、圧倒的に地方。50大学のうち在京の大学は2校だけで、収容定員が千人以下の小規模大学が多く含まれた。2年連続で科研費がゼロという大学も散見される。ただ、収容定員充足率は低くても自己資金比率は高い水準を維持している大学も少なくない。その理由を駿台教育研究所進学情報事業部部長の石原賢一さんはこう話す。

「定員を減らすには煩雑な手続きが必要なので、定員割れでも経営を続ける体力がある大学は是正しないケースもある。系列の高校、中学で利益を上げている学校法人もあるので、定員割れイコール経営が危ないということではありません」

 とはいえ、収容定員充足率の「高低」を分けたものは何なのか。

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教育ジャーナリストの意見は…