非正規として働くA子さん(44)。翌月には雇い止めに遭うかもしれないという気持ちが常にあり、働いていたとしても、常に不安から逃れられない(撮影/鈴木芳果)
非正規として働くA子さん(44)。翌月には雇い止めに遭うかもしれないという気持ちが常にあり、働いていたとしても、常に不安から逃れられない(撮影/鈴木芳果)

「人生100年時代」に突入するニッポン。住み慣れた地域で老いて安心して死ぬことができたのは、もはや過去の話だ。非正規労働、シングルマザー、フリーランス、LGBT……。生き方が多様化する中、老後、そして「死に方」の不安とは。

*  *  *

 数年後か数十年後。その時にどういう「死に方」をするのか想像すると、怖くなる──。

 都内在住のA子さん(44)は、そう漏らした。

 36歳の時、結婚を機に、正社員だったIT関連の会社を辞め、家計の補助に派遣社員として働き始めた。しかし2年後に離婚。子どもはいない。以後、非正規として、長くて2年、最短で3カ月、何度も雇い止めに遭いながら働いてきた。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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