陳建一(ちん・けんいち、61)/1956年、東京都生まれ。赤坂四川飯店オーナーシェフ。93年「料理の鉄人」に中華の鉄人として出演。テレビや雑誌などで幅広く活躍(撮影/門間新弥)
陳建一(ちん・けんいち、61)/1956年、東京都生まれ。赤坂四川飯店オーナーシェフ。93年「料理の鉄人」に中華の鉄人として出演。テレビや雑誌などで幅広く活躍(撮影/門間新弥)
初出演/1990年4月18日 梅風味の卵いため(撮影/小川勝彦)
初出演/1990年4月18日 梅風味の卵いため(撮影/小川勝彦)

 中華料理店「赤坂四川飯店」オーナーシェフで、「中華の鉄人」として知られる陳建一さん(61)。そのルーツを辿ると意外な料理が出発点だった。講師として出演したNHK「きょうの料理」の思い出とともに振り返る。

【麻婆豆腐じゃない!!陳建一さんが初出演した時の料理はこちら】

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「マカロニグラタン」。それが生まれて初めて作った料理ですよ。小学生のとき「きょうの料理」を見て作って、それが料理人の原点になった。

 小学校3年生くらいのとき、親が銀座の不二家に連れて行ってくれ、「好きなものを頼んでいいよ」って言うから、マカロニグラタンを頼んだわけ。熱々のが運ばれてきて、いい匂いがして。食べたらすごいおいしくて、感動した。で、テレビを見ていたら「きょうの料理」で「マカロニグラタン」の作り方をやってるじゃない。もう画面に釘付けよ。急いでテキストを買いに行って、母に頼んで耐熱皿やオーブントースターも買ってもらった。作ったのを近所の同級生たちに食べさせたらみんな「わぁー」ってすごい喜んで、その笑顔を見ていたら自分まで幸せになっちゃって。それで料理人になりたいと思ったわけ。

 それにしても、このときのグラタンのベシャメルソースの作り方はすごかった。バターと小麦粉を炒めて、牛乳でのばしたら、最後にふきんで濾(こ)す。そうするとソースがすごくなめらかになるんだけれど、超プロのテクニックだよ。

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