そんな男前の運慶の仏像を、360度楽しめる「運慶」展。これまで門外不出だった仏像の出品も多く、この機会にCTスキャンなど最新機器での調査も行われている。こうした調査研究の積み重ねが、将来、なぞの多い運慶や運慶作品について解明するきっかけになる可能性もあるという。

 とりわけ注目されているのが、仏像の内部に納められた「納入品」の詳細だ。

 運慶は納入品にも力を注ぐ仏師として知られ、わかっているだけでも、納入品を納める像内の空間全面に金箔(きんぱく)を張り巡らすなど、仏像の神聖さを内側にも込めるかのような工夫をほどこした。とはいえ納入品は、普通は人の目にはさらされないもの。運慶の信仰心のあつさもうかがえるという。

「仏像の知識がなくても身構えず、とにかく像と対面してほしいです。そして、そこで自然にわき上がってくる気持ちを感じてください」

 東京国立博物館の浅見龍介さんもそう話す「運慶」展。入場の行列は覚悟だが、狙い目は夕方だ。とくに「日曜日の夕方」がおすすめだそうです。(ライター・福光恵)

AERA 2017年11月6日号より抜粋