賃料、光熱費、社員の定期代、通勤にかかる時間。テレワークの成果は、そうしたコストの削減だけにとどまらない。

 顔を合わせて会話しない分、業務に関することは各自が明確にテキストや資料で伝える必要がある。情報共有と透明化が進み、社内のコミュニケーションは以前より濃密になった。

 いつ、どこで働いてもいいから、さまざまな事情を持つ社員が、継続的に快適に働ける。家族のケアのために月の半分は関西の実家で、半分は東京で過ごす、というスタイルの社員もいる。遠隔地に住む優秀な人を社員として迎えることもできるようになった。

 成功の秘訣(ひけつ)を、社長の古賀早(はじめ)さん(52)は「最小限のルールにしているから」と分析する。

「対象者や回数を限定したり、事前の申請・承認が必要だったり、使うのを妨げるルールを設けると失敗する。全員一律でシンプルなルールにしています」

 勤務時間は自己申告で、働いているかどうか監視したり、管理したりすることはない。

 そもそも「朝早く出社して夜遅くまでがんばってるね」ではなく、業務の過程や成果で評価する。「いかに働くか」を自由に決められる分、責任とセルフマネジメントが求められる。

「疑いだしたらきりがないし、性悪説を立てても仕方ない。そういう意味では、疑うことをやめた、とも言えるかもしれません」(古賀さん)

AERA 2017年11月13日号