メッセージは部署ごとや社内一斉など設定次第で選べるので、いまや社内連絡はほとんどWorkplace内に飛び交う。経営企画部長の服部貴志さんは社内の相手にメールを使うことが少なくなった。経営会議の議題設定など、役員への問い合わせも「以前より気軽にできる」と話す。

 こうした職場の第4のコミュニケーションツールが定番になりつつある一方、導入の壁になるのが「世代間ギャップ」だ。特に年代層が幅広い職場では「ITリテラシー」の格差が大きく、障壁は高くなる。

「平成29年版情報通信白書」(総務省)によるとスマホの個人保有率(2016年)は、20~30代は9割を超えるのに対して、40代は79.9%、50代は66%、60代は33.4%。さらに、電話やメールに続きコミュニケーションツールとして普及してきたFacebookやLINEといったSNSも年代ごとの利用率に大きく差がある。

 それでも、家族などのプライベートではSNSのチャットツールを使う人は増加傾向にある。

 アエラネットのアンケートでは、プライベートでも全体の94%がメールを使うと回答したものの、最もよく使うツールではLINEが最も多い46%と跳ね上がっている。

 実際、LINE WORKSやWorkplaceは、もともとプライベートでLINEやFacebookを使っていたから、仕事でも導入しやすかったという声が多い。

 上手な導入にはどんなコツがあるのか。「トップダウン」「ボトムアップ」のそれぞれにカギがあるようだ。

 たとえば前出のAOI Pro.では、今年1月、Workplace導入と同時に年初の挨拶で中江康人社長が、全社員に向けて「メールよりWorkplaceを使うように」とメッセージを出した。さらに、「8割以上の社員が3日に1回以上使う」という目標も設定。経営陣らも積極的にWorkplaceを利用する。もともと社内ポータルサイトで掲示していた情報などもWorkplaceに徐々に移していった。今では9割以上の社員が日常的にWorkplaceを使っているという。

 前出の土屋鞄製造所では「ボトムアップ」に工夫があった。

 いち早くWorkplaceを使い始めたスタッフは、デジタルツールに慣れていなさそうな年配の社員に、「見ていただけましたか?」と対面での声がけを心がけた。その結果、「デジタルに弱い」人たちにも利用が浸透していった。

「普段から対面でコミュニケーションをとって信頼関係ができているからこそ、Workplaceで気軽にチャットやグループでのやりとりができるのではないでしょうか」(三角さん)

(編集部・長倉克枝)

週刊朝日 2017年10月30日号より抜粋