値段もお値打ち。酒税がかからないため清涼飲料程度で、1本100円前後が中心。今回購入した商品のなかでもっとも安いものは、「ブローリー プレミアムラガー」と「ヴェリタスブロイ プレミアムピルス」などの1本当たり70円ちょっと(ケース買いの場合)。もっとも高いものでも、「エルディンガーアルコールフリー」(瓶)の1本220円前後だった。

 その分デパ地下で、ビールに合うチキンや餃子などのつまみを豪勢に用意して、いよいよ、ノンアルで「カンパーイ!」。

 まあ、十分に予想していたことだが、正直、あんまり盛り上がらない。もうひとつビールのようにがぶがぶ飲めないのが、ノンアルの宿命。次第に炭酸飲料をがぶ飲みしたときのような満腹感に襲われ、さらにシーンとしたパーティーに。

●個性的な味わい楽しむ

 ビールなら1リットルでも中ジョッキ2杯弱。平気で飲めてしまうのに、この不思議。そういえば、前出、キリンビールの阿部さんも言っていたっけ。

「ビールには胃を活性化する働きがあると言われているので、たくさん飲めるというのはあると思います」

 偉いなあ、ビールは……いや、本物のビールへのそんな恋慕は振り払って、パーティー続行! 代わる代わる飲んでいくと、それぞれかなり個性があることもわかった。

「アルコール0.00%の国産は味が複雑すぎて、ひとことで表現できない物が多い。対してアルコール分がわずかでも残る外国産はシンプルな味わい。アルコールが入っているので当たり前ですが、味もビールに近いですね」(普段ビールは少量ずつ各種飲むタイプの庶務氏)

 というように、まず「ウエストエンド・エキストラ・ライト」(オーストラリア)や「ブローリー プレミアムラガー」(同)といった、アルコール0.9%とギリギリまでアルコールが入った「ローアルコール」系が人気を集めた。

 もうひとつ発酵過程を経て、0.01%程度のアルコールがある「ヴェリタスブロイ プレミアムピルス」(ドイツ)も「まあおいしいが、後味はいまひとつ」「泡立ちはいいが、水っぽい」など、「ただし書き」付きではあるが、人気になっていた。

 国産メーカーでは、各社、おいしいノンアルを求める研究を今なお続行中。発酵という自然の偉大な作用が生む味わいを、人知が超える日は、目の前だ。

(ライター・福光恵)

AERA 2017年10月9日号