集まったおつりのデータは月に1回集計され、ユーザーがアプリ上で承認すると銀行口座から引き落とされて投資信託の購入に充てられる。サービスの利用手数料は月額300円だ(最初の3カ月は無料)。

 トラノテック代表取締役社長のジャスティン・バロックさんは、サービスの狙いについてこう話す。

「投資は決して特別なことではなく、だれもが将来のためにコツコツ続ける当たり前の習慣であるべきです。投資は怖いと思っている人も、500円貯金の感覚でおつりを投資に回すのであれば気軽に始められます」

 さらに、買い物でもらえるポイントを投資に回したり、投資を続けるだけでANAマイルがたまる特典も導入するなど、金融以外のさまざまなサービスとも連携し、暮らしに密接した続けやすい仕組みづくりを進めているという。

 投資対象は、「トラノコ」専用に設定された投資信託から選ぶ仕組みだ。投資家が取れるリスクの許容度に応じた3本が用意されている。

 ロボアドバイザー投資を手がけるウェルスナビも、おつり投資サービスを提供している。おつりに相当する金額を、通常の投資にプラスして同社のロボアドバイザーによる投資に回す仕組みだ。利用できるのはすでに同社で資産運用をしている人などに限られるが、おつり投資システムそのものの手数料がかからない点がメリットだ。

 買い物するたびに、おつりを「チャリン!」と貯金箱に入れていく感覚で実現できる世界分散投資。コツコツ続けていけば、いつしか侮れないヘソクリに育ってくれるかもしれない。(ライター・森田悦子)

AERA 2017年10月9日号