●利回りは年々上昇

 一見、ハイリスクな商品に見えるが、「これまで数千本のファンドをウォッチしているが、デフォルトしたファンドはゼロ」(同)。その安全性に目をつけて、ソーシャルレンディングで資産の大半を運用する人も現れている。

「リーマン・ショックで数千万円の資産を溶かして、自分は投資に向いていないと思った」と話す中田健介さんもそんな投資家の一人。現在100本近くのファンドに投資し、年間7.2%の金利収入を得ているという。昨年のリターンは約100万円。運用のコツは

株などと同様に「分散すること」。

「新興の事業者が多いため、商品そのものよりも事業者が継続的にファンドを運用できなくなるリスクもある。実際、デフォルトしなくても、金利の支払い遅延が発生するケースもある。そのためのリスク分散が必要」(中田さん)

 リスクを抑えた投資志向の人向けに中田さんが勧めるのは不動産担保付きファンドだ。9月28日に上場したロードスターキャピタルなどが運用しており、想定利回りは5%程度だが、文字通り担保付きのため低リスク。

 なお、ソーシャルレンディング全体の利回りは年々上昇傾向にある。

「2015年度の平均利回りは6.9%でしたが、16年度は8.2%に上昇している」(藤田さん)
 という。背景にあるのは、参入業者の増加。顧客獲得のために、高めの利回りを設定するファンドが増えているのだ。今後も利回り上昇が続くとなれば、ポートフォリオに組み込むのも手か。(ジャーナリスト・田茂井治)

AERA 2017年10月9日号