「彼女たちの共通点は、孤独であること。現代人はみんな孤独かもしれませんが、家族がいても誰とも通じ合えない孤独感を抱えています。それと、よく言えば見た目も気持ちもかわいらしい。悪く言えば未成熟。仕事も友人関係もきちんとやってはいるけど、心の奥に小さなA子ちゃんを抱えていて、その子が満たされていないという感じを強く受けます」

 人は誰でも心の中に小さな“自分自身”がいる。それは原始的な欲求やわがままな要求をもつ幼稚な自分だ。それとどうやって折り合いをつけていくかが大事なのだと福島さんは言う。

「自分で小さなA子ちゃんを満たしてあげることができれば、たとえ不倫をしてもそれは“人に迷惑をかけない楽しい不倫”になる可能性が大です。ただ、小さなA子ちゃんのままで不倫をすると、自分も恋愛に振り回され、相手の配偶者に嫉妬したり軽々しく関係を他人に話したりするので、結局、バレてしまい、いい恋愛にはならない」

 不安定な関係を秘密にしたまま生きていくには、相当な自律が必要だ。人は弱い。だから、相手との関係を友人に話したり、写真を撮ったりして露見してしまう。

 本来、不倫の恋は、自分の中の欠損感を埋めるためにするものではなく、依存するためにするものでもない。恋はまさしく「落ちる」ものであって、計算外、想定外に降りかかってくるのだ。だからこそ、「落ちて」からが勝負、非常に自立心と精神力が必要とされる恋愛なのである。

「ただでさえ恋愛初期って、すごく精神的に不安定になるでしょ。ふたりとも結婚していて恋に落ちたら、よけい気持ちが揺れます。私もそうでした。でも彼のことが好きだから、離れたくなかったから覚悟を決めたんです」

 高校時代の同級生と再会して恋に落ち、5年つきあっているナツミさん(52)はそう話す。最初はぐらついても女性はほぼ3カ月くらいで覚悟を決める人が多い。そこからは「秘密の恋」を貫くのだ。

 既婚女性の不倫が増えたのは、そうした精神力を持ち合わせた女性が増加したからではないかと思う。一方、夫たちの意識も変わった。

●夫の恐怖は「妻の不機嫌」 妻の不倫で家庭が円満に

「うちの妻は毎週金曜日に外泊してくるんだけど……」

 知人のヨシカズさん(53)からそんな話を聞いたのは1年前。同い年の妻とは結婚して24年。大学生の年子の息子たちがいる。共働きだったため、家事も子育ても協力しあってきた。ようやく子どもたちが成人したと思ったら、妻が帰ってこなくなったのだ。ただ、彼は最初に妻が朝帰りしたとき「友だちとカラオケで徹夜しちゃった」という言い訳を信じた。いや、信じたふりをした。

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