「相手は仕事関係で知り合った5歳年下の既婚者。既婚同士だから、誰にもバレないように秘密を共有しながら“恋愛”をしています。彼も私も、それぞれの配偶者を嫌ってはいません。ただ、結婚して20年もたてば“家族”でしょ。男と女ではなくなっているんですよね。仕事と家庭でふっと疲れたとき、私は恋に落ちました。久々に恋をして感じたのは、細胞がひとつひとつふっくらしていくということ。身も心も蘇っていくような気持ちになりました。だから外で恋愛することがそんなにいけないとは思えない」

 実感として、不倫の恋に落ちる女性の年代は40代後半がいちばん多い。女性は40代半ばになると個人差はあれ、誰でも「更年期」を意識するようになる。実際、体調不良に悩まされることもあるし、若いころと比べれば白髪やシミ、シワも増えてくる。

 女としての旬が過ぎ去っていく。そう感じて焦燥感に襲われる。

「確かに40代から50代にかけての女性は心身ともに揺らぐ時期です」

 産婦人科医で臨床心理士でもある、よしの女性診療所の吉野一枝さんはそう言う。更年期になってエストロゲン(女性ホルモン)が激減すると、生殖機能以外に、心血管系、自律神経系、脳機能、皮膚代謝など、個人差は大きいがさまざまな器官に影響が出てくる。

「しかも生活の変化が激しい年代なんですよね。仕事をしていれば責任も増す世代だし、親の介護の問題も出てくる。子どもの進学、就職、結婚などもあるでしょう。都心部だと晩婚の女性が多いので、自分の更年期と子どもの思春期がぶつかってバトルを繰り広げている人もいます」

 心身共に変わり目、節目だが、ここは老年期に向かう大事な時期でもある。

「ただ、更年期は“女としての終わり”ではないんです。たまに月経がなくなるのは女でなくなる気がするから、月経を起こすようにしてほしいという患者さんがいます。子宮の病気があっても、どうしても子宮は残したいと願う女性もいる。月経があろうがなかろうが、子宮があろうがなかろうが、女は女です」

 吉野さんはきっぱりとそう言う。

●自立心と精神力が必要 女性は3カ月で覚悟決める

 そうした身体的な衰えは、当然心理にも影響を及ぼす。大妻女子大学人間関係学部教授で心理学者の福島哲夫さんは、カウンセリングオフィスも主宰しているが、生きづらさを抱えてカウンセリングに来る既婚女性の中には不倫経験のある人が多いと言う。

次のページ