同社クラウドファンディング事業本部長の村上哲也さんは、事業をスタートさせた経緯についてこう説明する。

「当初は、アパート経営に興味を持つお客様に不動産投資を体験してもらう目的でスタートしましたが、希望者が多く出資は毎回抽選となっています。投資期間が3カ月程度と短く、銀行預金に比べて利回りが高い点が支持されているようです」

 ちなみに、抽選の倍率は、平均して3.8倍だという。

 しかし、元本保証はなく、リスクはある。投資している間に不動産価格が暴落したり、空室のままだったらどうなるのか。

「30%までの下落分は当社が負担する仕組みで、出資者に影響はありません。下落幅が30%を超えた場合は、超過分のマイナスを出資者にも負担していただくことになります」(村上さん)

 とはいえ、賃貸物件の目利きに強みを持つ同社だけに、これまで元本割れしたり予定利回りを下回ったことはないという。

 不動産クラウドファンディングは新規参入の動きも活発で、6月には不動産ファンド大手のケネディクスが野村総研と合弁で、事業会社を設立した。9月には不動産クラウドファンディングを成長の柱と位置付けるロードスターキャピタルが東証マザーズに上場した。

 12月には、クラウドファンディングの手続きや事業者の管理体制の規定が盛り込まれた改正不動産特定共同事業法が施行される。法律の「お墨付き」を得て、市場はますます活気を帯びそうだが、不動産投資そのものには、バブルを懸念する声が根強いことは念頭に置いて検討したい。(ライター・森田悦子)

AERA 2017年10月9日号