大貫(おおぬき)さん(左)/1981年生まれ。「夫婦のじかん」は10月2日に「まんざい道」に出演(写真:本人提供)
大貫(おおぬき)さん(左)/1981年生まれ。「夫婦のじかん」は10月2日に「まんざい道」に出演(写真:本人提供)
1歳の時、祖父の大貫久男さんと(写真:本人提供)
1歳の時、祖父の大貫久男さんと(写真:本人提供)

「断捨離」と言われても、なかなかモノが捨てられない。だが、インターネットのおかげで、実家の片づけや引っ越しで出るガラクタにも値がつく時代に。訪日する中国人が、家の片隅に置かれた中国骨董に高値をつけ、メルカリでどんどん遺品整理もできる。タンスの中は、宝の山だ。AERA 2017年9月25日号では「お宝流出時代」を大特集。

【銀座で現金1億円を拾い有名になった大貫久男さん】

 モノでも、体験でも人生の逸品を見つけられた人は幸せだ。その喜びは世界でひとつの物語。1980年に東京の銀座で現金1億円を拾い有名になった、大貫久男さんのお孫さんにお宝を見せてもらった。

*  *  *

 1億円を拾った大貫さんの孫──。芸人になってからこう紹介されることがよくあります。だけど、幼いころは祖父が1億円を拾ったのは冗談だと思ってました。祖父は、1980年に東京の銀座で現金1億円を拾い有名になった、大貫久男です。

●「1億円あげる」と冗談

 祖父のことで記憶にあるのは私が5、6歳になってから。お盆や正月に親戚が一堂に集まると、酒に酔った祖父が私たち孫によく言っていました。

「1億円あげようか~」
「ちょうだい、ちょうだい」

 そう返事すると、祖父はその辺にあったゴミを「はい、1億円」と言って差し出しました。大人たちも「俺にもくれよ~」と絡んでましたけど、いつも冗談しか言わない祖父だったので本気にはしていませんでした。

著者プロフィールを見る
野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

野村昌二の記事一覧はこちら
次のページ