●日本は中国美術の宝庫

「統計によると、世界の中国の文物のオークションの30%は日本から来たもの。日本から戻った品は、中国のオークション業界で非常に人気がある」

 と、中国最大級のオークション会社「中国嘉徳国際オークション」の胡妍妍(フーイェンイェン)社長(53)は強調する。

 中国人が日本から戻る美術品を重視する理由は、「価格帯が安く、偽物が少ない」こと。日本の場合、収集時期がほかの国に比べて早く、入手時の値段が安いため、所有者がそれほど高値を要求しない。まさに中国人にとって「宝の山」だというのだ。

 このところ特に人気が高まっているのが書画、仏像、漢籍、碑文の拓本など。中国でも内面の充実が重視されるようになり、仏教関連のものや漢籍の人気が出てきた。

 同社では相談会のほかに、メールで写真を送ってもらって鑑定する無料サービスもしている。あまり期待をせずに相談を持ちかけた日本人所有者が、鑑定結果に「えっ、こんなに高いんですか?」と驚くこともしばしば。

「タンスから出てきた中国の絵画が、オークションで4千万円ほどで落札されたケースもありました」(同社日本事務所の尾川朱実(あけみ)さん、53)

(編集部・山口亮子)

AERA 2017年9月25日号