火の温度は190度の中火。油はひかずに、片面を3分間ずつ焼く。すると、パテを置いてすぐに透明な油が溢れ出てきた。香りも肉っぽい。でも煙も音も出ない、“静かなハンバーグ”だ。塩コショウで味付けをしてから3分後、裏返すと焼いたはずの片面にまだ赤みが……。「これ、焼けているんでしょうか?」と思わず聞くと、「レア感を出すために、わざと赤くしているんです。ちゃんと焼けているので、安心してくださいね」と宮本さん。

●日本でひき肉代わりに

 出来上がりはハンバーガーそのもの。ケチャップとマスタードをかけて一気にかぶりついた!

 食感もひき肉同然だ。パサパサ感はなく、バターのような風味と濃厚さ。言われなければホンモノと間違えるほどだ。でもこれ、エンドウ豆のはず。この濃厚さはどこからくるのか。

「酵母エキスや精製ココナツオイルですね。食感、香り、肉汁などを肉に似せるために工夫されています」(小西さん)

 さてこの“お肉”、いつ日本上陸を果たすのか。三井物産は現在、日本国内での販売を目指し関係各所と協議中だ。来年にも実現予定という。

 日本で需要がどこまで増えるか見えないものの、将来的にはミンチの形状を生かし、おなじみの餃子や担々麺に使うひき肉代わりとして供給することも検討中だ。

 ニッポンの食卓に並ぶ日も、近い。(編集部・小野ヒデコ)

AERA 2017年9月18日号